第060章

石川家の兄妹は自分たちの部屋に戻り、ドアを閉めた。女の子はお兄ちゃんの袖を引っ張り、心配そうな表情を浮かべていた。

石川健太も同じく心配で、部屋の中を行ったり来たりしながら、ぶつぶつと呟いていた。「どうしようどうしよう、ママはもう僕たちのことを本気で疑ってる。千尋のあんな言い訳じゃママをごまかせないよ。明日僕たちを病院に連れて行くって言ってるし、どうすればいいんだ?」

石川香織は携帯電話を取り出して石川健太に渡した。お兄ちゃんに電話をかけるようにという意思表示だった。この状況は水原家の兄妹もすでに経験していたことだし、彼らなら何か対処法を知っているかもしれない。

石川健太は携帯を手に取...

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