第145章

水原祥子は元々林田ククに藤原深の意見を聞いてもらおうと思っていたが、藤原深の声が聞こえてきて、彼が側にいることに気づいた。

彼女は途端に笑顔になった。

「あら、深くんもいたの?あなたが賛成してくれるなら言うことないわ。お爺さんもこの歳まで生きてきたんだから、少しは良い日々を過ごさせてあげたいものね…」

水原祥子が自分の苦労話を持ち出すのを聞いて、林田ククは思わず目を白黒させたくなった。

「そうそう、明日お爺さんが退院するから、家で皆で食事をするの。深くん、時間があったら一緒に食事しない?」

水原祥子の態度には遠慮がちな期待が滲んでいた。明日は親戚も大勢集まるし、藤原深が来てくれれば...

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