第160章

水原心柔は口から水を吐き出し、林田ククを見つめながら何か言おうとした。

だが林田ククは突然しゃがみ込み、先に口を開いた。

「水原さん、大丈夫ですか?こんな高いヒールでプールサイドに立つと滑りやすいって言ったのに、どうして聞いてくれないんですか」

水原心柔はひと瞬きし、林田ククの意図に気づくまでに少し間があった。

彼女は本来、林田ククが自分をプールに突き落としたと偽証するつもりだったが、こんな展開になるとは。林田ククはむしろ彼女を救った恩人になってしまった。

予定していた計画が狂い、水原心柔は歯ぎしりするほど腹が立った。

この賤女、さっき水の中であんなに苦しめておいて、こんな簡単に...

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