第16章 料理の才能がない

言い終わると、林田ククは急に口の中の奶茶の味わいが失せたように感じた。彼女は苦々しく口元を引き攣らせた。「もう離婚寸前なのに、何が正妻よ」

朝日明美は彼女を訂正した。「でもまだ離婚してないでしょう?あなたが離婚しない限り、水原心柔はずっと浮気相手のままよ!」

そう言われても、林田ククは藤原奥様という立場にもはや何の未練もなく、むしろ一刻も早く手放したいと思っていた。

この数日間、林田ククは病院に滞在し、原稿を書きながら祖母の看病をしていた。

彼女は時々藤原深にメッセージを送り、いつ時間があるか、もう一度区役所に行こうと誘った。今度は絶対に彼を立てることはないと。

おそらく前回のこと...

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