第167章

林田ククはしばらく呆然としていたが、やっと顔を赤らめて藤原深を押しのけると、恥ずかしさと怒りが入り混じった声で言った。

「場所くらい考えてくれない?」

藤原深は彼女の真っ赤に染まった顔をじっと見つめた。その赤みは耳まで、首筋まで広がっていて、それを見ると彼は妙に気分が良くなり、思わず口元に笑みがこぼれた。

彼は横暴に言い放った。

「お前は俺の嫁だ。キスしたいときにするさ」

林田ククは遅れてきたため、レストランにはもうほとんど人が残っていなかった。残っている数人も彼らからはある程度離れていて、二人に気づくこともなさそうだった。

藤原深がこんなに露骨で強引なことを言うのは初めてで、林...

ログインして続きを読む