第20章 そのネックレスを売った

林田ククは自分の濡れた服を見下ろし、少し躊躇した。「でも、全身濡れてるから、車に乗ったらシートが濡れちゃうよ」

「シートなら拭けばいいさ。でもこのまま雨に濡れてたら、風邪引くぞ」

相手がそこまで言うなら、林田ククも断るわけにはいかなかった。そう拒否したら、自分が気取っているように見えてしまう。

車に乗り込むと、佐藤時言はヒーターを最大にした。

林田ククは送風口に手をかざし、ようやく暖かさを感じ始め、体の震えも少し収まってきた。

彼女は佐藤時言を見て言った。「ありがとう。あなたに会わなかったら、もっと長く雨に濡れていたかもね」

「気にするな。この前は俺を助けてくれたから、これでチャ...

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