第27章 産めない無能

神崎遠の動きが一瞬止まり、目が輝いた。本来なら承諾するつもりだった。何しろ水原心柔が林田ククの本当の身分を知ったときの、あごが外れるような驚きようを見たかったのだ!

だが突然、林田ククに秘密を守ると約束したことを思い出した。さらにキャスティングの時、林田ククがまるで正体を隠すかのように、あれほど身を包んでいたことも頭に浮かんだ。

彼と林田ククの仲がそれほど良いわけではないが、彼女が必死に隠している秘密を、自分がたった数言で暴露してしまうのは、義理に欠ける行為だろう。

彼はいくら何でも林田ククを「義姉さん」と呼んでいるのだ。約束したことは死んでも守らなければ!

この重大な瞬間に、神崎遠...

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