第35章

弁護士は立ち上がり、敬意を込めて声をかけた。

「藤原社長」

藤原深は軽く頷き、朝日明美に一瞥をくれると、平然とした表情で椅子を引いて座った。

林田ククはますます困惑し、急いで朝日明美の腕を引いて座らせた。

「一体何があったの?」

朝日明美は先ほど弁護士から渡された書類を林田ククに差し出した。

「私、ネットで水原心柔のことを少し悪く言っただけなのに、藤原深が水原心柔の味方をして私を訴えたの」

朝日明美は怒りで目から火が出そうな勢いで、拳を握りしめ、テーブルを強く叩いた。

「ひどすぎる!」

水原心柔を罵っている人はあんなにたくさんいるのに、どうして藤原深は一人一人訴えていかない...

ログインして続きを読む