第67章

本来彼に消毒してもらえると思って少し感動していた林田ククだったが、彼のその発言で、その微かな感動は一瞬にして消え去った。

彼女は負けじと言い返した。

「バカはあんたでしょ。この傷、大したことないから消毒なんて必要ないわ。誰もがあんたみたいに金持ちじゃないんだから」

言い終わるか終わらないかのうちに、藤原深は綿棒を傷口に強く押し付けた。

林田ククは痛みで思わず声を上げ、もう片方の手で藤原深の肩を何度も叩いた。

「痛い!藤原深、人殺しか!」

藤原深は淡々とした口調で言った。

「さっき誰かさんが、俺みたいに金持ちじゃないって言ってなかったか?なのにこの程度の痛みも耐えられないのか?」...

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