第75章

それはそうと、林田ククが脚本を書き始めたのも田中青の影響があったんだ。

あの時、彼女は朝日明美と一緒に街へ買い物に出かけて、二人とも疲れたから近くのカフェで休憩することにした。

カフェに入る時、うっかり田中青にぶつかってしまって、彼が持っていた原稿が床一面に散らばってしまったんだ。

林田ククが拾うのを手伝った時、無意識に中身の一部をちらっと見てしまった。短い数行の文章なのに、魂に響くような力があった。

林田ククは田中青をコーヒーに誘った。一つは謝罪のため、もう一つはその文章について話してみたかったから。

田中青は会話の中で林田ククが想像力豊かな人だと気づき、日頃の空想を記録してみた...

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