第77章

林田ククは演技力があれば十分だと思っていたが、今となっては芸能界に入るには演技だけでなく、駆け引きや策略も必要だと分かった。

役者への道は、彼女が想像していたほど簡単ではなかった。

林田ククは落ち込んだまま家に帰ると、ソファに正座して待ち構えている人物が目に入った。まるで彼女を問い詰めようという姿勢だった。

林田ククは彼を見なかったふりをして、そのままマスターベッドルームへ向かった。

朝、藤原深は林田ククに置いていかれて不機嫌だった。夜に帰ってきたら問い詰めようと思っていたが、彼女は夕食にも帰ってこず、彼は一晩中待ち続けていた。

その間、林田ククに掛けた電話はすべて切られてしまい、...

ログインして続きを読む