第27章 婚約を解消したい

藤原花子は慌てふためいていた。高橋隆司が婚約を解消したいと言うなんて?これまでの年月、彼女はまだ足りないほど尽くしてきたというのに。

「隆司……」藤原花子はぼんやりと、何か言おうとしたが、高橋隆司に冷たく遮られた。

「契約書はテーブルの上だ。帰ってくれ、仕事がある」

男の声は冷たく、藤原花子には一瞥すら与えなかった。藤原花子の心は凍りつくように冷え込んだ。

彼女が動かないのを見て、高橋隆司は再び口を開いた。「他に何か言いたいことがあるのか?なければ、もう行っていいぞ」

藤原花子は言いたいことが山ほどあったが、どう切り出せばいいのか分からなかった。高橋隆司がここまで言い切ったのだから...

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