第30章 罠にかけられた

カフェにて

「他の医薬品サプライヤーに連絡して、彼らがウイルス研究所と提携できないようにしなさい。もし彼らがウイルス研究所と協力するなら、それは藤原家に敵対するということよ」

藤原花子は冷たい声で林田成に命じた。

林田成はうなずいて承諾した。

先ほどから藤原花子と江口美咲の対立を見ていて、この二人の間に確実に過去の確執があることが分かった。そうでなければ、藤原社長が一度約束したことを反故にするはずがない。

それに、彼女の以前のウイルス研究所に対する態度とは全く異なっていた。

この全ての変化は、さっきあの女性を見かけたことだけが原因だった。

林田成が立ち去ると、個室には藤原花子...

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