第16章 私は後悔なんてしない

北村辰のその言葉を聞いて、佐藤愛は自分の耳がきっと何か問題を起こしているに違いないと感じた。

北村辰が自分を学校まで送り迎えするって?

頭がおかしいんじゃないの?

彼女は勉強しに来たんだから、好きなように通えばいい。それに北村家以外の男子を物色する機会も探していたのに、北村辰という大氷塊に毎日学校まで送ってもらったら、どうやって他の男を開拓するというの?

ダメだ、断らなきゃ。

佐藤愛は自分のあの醜い顔を引っ提げて、北村辰の前に寄り、あれこれ説得し始めた。

「あの、辰兄、あなたはお仕事がとても忙しいのに、私のせいで時間を無駄にする必要はないわ」

「私はただ学校に通うためだけに来た...

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