第23章 骨折かもしれない

彼女は躊躇することなく、御曹司の足がバイクに伸びた瞬間、蹴りを入れた。

二つの力がぶつかり合い、佐藤愛は三割ほどの力しか使わなかったが、御曹司はバイクに乗っていたため、彼の出した力は佐藤愛に及ばなかった。この一撃だけで、御曹司のバイクはたちまちカーブから飛び出してしまった。

カーブの向こう側のガードレールに向かって突っ込み、激しく衝突した。

高山健が運転していたバイクも、その慣性の力で、コースから外れてしまった。

幸い高山健はある程度の操縦技術を持っていたため、必死の努力の末、何とかバイクを安定させることができた。

しかし、停止した場所があまり良くなかった。すぐ横にはコースのガード...

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