第30章 彼は佐藤愛にキスしたい

佐藤愛は自分の姿が色っぽく見えていることに気づいていなかった。

そんな折、彼女は腰を深く曲げすぎたせいでバランスを崩し、ドサッという音を立てて地面に倒れてしまった。

顔が床に触れた瞬間、彼女は死にたくなるほど恥ずかしかった。彼女はれっきとした佐藤家のお嬢様なのに、どうして北村辰の前でこんな醜態をさらしてしまったのか?彼女の体面はどうなるというのか?

まさか転んでしまうなんて……

北村辰は彼女が倒れるのを見ると、何も言わずに慌てて手を伸ばし、佐藤愛のか細い体を一気に床から抱き上げた。

あっという間に、佐藤愛の柔らかな体は北村辰の腕の中に収まっていた。

彼の胸の温もりが佐藤愛の薄い寝...

ログインして続きを読む