第32章 喧嘩を売られたら徹底的にやる

「辰兄、バッグが欲しいの。たくさんたくさんのバッグを買ってほしい……」

佐藤愛がそう言うと、北村辰は長い息を吐いた。やっぱり、バッグは万能薬だな。

北村家はお金に困っていない。北村辰は大学時代から資産運用を始めており、佐藤愛にバッグをいくつか買ってあげることなど、全く問題なかった。

「いいよ」

北村辰は快く答えた。

そのあまりの快諾に、佐藤愛は眉をひそめた。

ふん、これじゃあ彼を困らせることはできないな?

彼女はさらに要求をエスカレートさせた。「一緒に買いに行ってほしいの。ブランド物で、高いのがいい!」

佐藤愛は自分が金に目がないというイメージを作り上げようとしていたが、北村...

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