第37章 彼女の目は悪くない

「こんなに素敵なバッグをもらっても、私使い道がないわよ?」青山さんは手に持ったバッグを見つめ、呆れた様子だった。

お金持ちの家は違う。数百万円のバッグを、あげるというだけで彼女の手に押し付けてしまうのだから。

「何言ってるの、使い道なんていくらでもあるじゃない。買い物のとき野菜入れればいいのよ……さあさあ、行って、私そろそろ寝るから」

佐藤愛は押したり背中を叩いたりして、なんとか青山さんを部屋から追い出すことに成功した。

ちょうどそのとき、ジョギングから戻ってきた北村辰が階段を上がってきた。彼は青山さんが佐藤愛のドアの前に立っているのを見て、思わず声をかけた。

「どうしたの?」

...

ログインして続きを読む