第17章 彼女が心から望むのを待つ

書斎にて

塚本郁也は机に座り、パソコンの画面から漂う淡い光が、男の冷たく威厳のある顔を照らしていた。

パソコンからは見知らぬ声が厳格に報告を続けていた。「塚本社長、グループの今四半期の収益は……」

書斎のドアが蹴り開けられた瞬間、すべての音が途絶え、空気が重く沈んだ。針が床に落ちる音さえ聞こえるほどだった。

古川有美子の心臓が激しく震え、息が詰まった。

やばい。

どうやら塚本郁也は会議中だったようだ。彼女が先ほど言ったことはつまり……

古川有美子は気まずそうに口を開きかけたが、一音も発する前に書斎から男の冷たい怒声が響いた。

「出て行け!」

古川有美子はハッとして、目が赤く...

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