第26章 同仇敵愾

車はずっと遠くまで走り続けた。

徐々に、古川有美子は波の音が聞こえてきた。窓の外を見ると、夕陽に照らされた海岸線が、キラキラと輝くオレンジゴールドに染まっていた。

微風が運ぶ微かな潮の香りが、混沌としていた頭をすっきりさせてくれた。

近くには地元の住民か、遠方から来た観光客たちが、砂浜で波と戯れ、笑い声を上げている。

その温かく癒される光景に、古川有美子の緊張した神経はゆっくりと解れていった。

海辺のホテルの近くで、鈴木祐介が車を停め、降りると古川有美子に手を差し出した。「さあ、何か食べに行こう。優佳ちゃんもすぐ来るから」

古川有美子は思いがけない親切に戸惑いを感じた。鈴木祐介の...

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