第27章 根を探し源を遡る

古川有美子は心臓が一気に喉元まで上がってきた。

彼女は鈴木優佳が言っている「古川奥さんと古川会長に伝える」ということが、鈴木祐介が思っていることとはまったく別のことだと分かっていた。

急いで手を伸ばし、鈴木優佳のスマホを奪い取った。

顔を上げると、目には明らかに涙が浮かんでいた。

「優佳、お父さんお母さんには言わないで、お願い」

古川有美子の声には泣き声が混じり、ひどく詰まっていた。

その小さな懇願の声を聞いて、鈴木優佳も胸が痛み、心中穏やかではなかった。

このまま古川有美子を放っておくべきではないという声が心の中で囁いていた。

しかし、彼女の頼みを断る勇気も出なかった。古川...

ログインして続きを読む