第31章 留まる

古川有美子は塚本慎平のことをよく知らなかったが、学生時代に彼女に意地悪をしてきた「塚本ぽっちゃり」となると、鮮明に記憶に残っていた。

塚本ぽっちゃりはその名の通り、まん丸に太っていた。同年代の生徒より一回り大きく、身長は逆に低かった。

体型のせいで、塚本慎平は思春期の無知な同級生たちによくからかわれ、友達になりたがる人はほとんどいなかった。

古川有美子を除いては。

当時の古川有美子は成績優秀で学級委員を務め、正義感から彼を普通の同級生として扱っていた。

ところがその彼は、どういうわけか時々いたずらをして彼女を困らせ、古川有美子も負けじと仕返しし、「愛憎の間」の関係だった。

その後...

ログインして続きを読む