第52章 旦那が登場する

渡辺愛華は真剣な彼女の表情を見つめていた。人の目は嘘をつけないというが、渡辺愛華は古川有美子の目から彼女の誠意を感じ取った。

ふと、渡辺愛華はあのホテルでの夜のことを思い出した。夫が自分に「高橋茜に騙されている」と言ったのに、どうしても信じようとしなかった。

古川有美子も自分たちが悪い人間の離間工作に遭ったと言っていた。

「あの日、実家に戻った後…」渡辺愛華は古川有美子に尋ねた。「その日の午後、外で茜と何を話して彼女が泣いたの?」

「あの日、彼女を探したのは俺です」塚本郁也が後ろから現れた。

彼は部屋で食事を終えても古川有美子が水を持って戻ってこないので待っていた。

塚本郁也は彼...

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