第55章 旦那の横暴

塚本慎平は頷いた。「おじいちゃんの話をこっそり聞いたんだ。あ、秘密だよ。彼の嫁だからこそ教えてあげるんだからね」

古川有美子も頷く。「安心して、こんな大事なことは絶対に他言しないわ」

二人が頭を寄せ合って内緒話をしている後ろで、男は炎天下に立ち、両手をポケットに入れて二人を見つめていた。

「……あのさ、古川有美子。俺を三回も倒したことは、うちの家族には言わないでくれよ」

「大丈夫、面子は立てておくわ。それに、もし言ったら、あなたのお母さんに殺されちゃうもの」

古川有美子はつま先立ちして塚本慎平の肩を軽く叩いた。「驚いたわ、まさかあなたの叔父さんが塚本郁也だなんて。官僚の子だとは知っ...

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