第15章

葉山風子が後ろから声を聞いた時、一瞬固まった。振り向くと、とても端正な顔が目に入った。若い男性で、自分の旦那である桂原明と同じくらいの年齢に見える。

「くそっ、相澤俊は誰も食事中の女性を邪魔しないって言ったじゃない。こいつは紳士じゃないの?」葉山風子は心の中で激しく文句を言った。

相澤俊がもし葉山風子の心の中の愚痴を聞くことができたなら、きっと彼女に対して文句を言い返したことだろう。

「紳士は確かに女性の食事を邪魔しないけど、その女性が食事をするだけでなく、こっそりバッグに物を詰め込んでいるとしたら、それはパーティー会場で食い逃げする詐欺師ではないかと疑われても仕方ないのでは?」

葉...

ログインして続きを読む