第21章

佐藤萌は、世の中に奥さんのために朝食を用意する男性がいないとは思っていなかった。ただ、そんな素晴らしい男性が自分の親友の旦那さんだということが受け入れられなかっただけだ。

人間の性格というのは時にこんなに複雑なもので、親友や親しい仲間が自分より恵まれていないとき、同情して心から助けようとする。でも相手が自分より上手くいっていると、嫉妬で頭がおかしくなってしまう。

佐藤萌はまさにその状態だった。電話越しでも、葉山風子は受話器からレモンのような酸っぱさを感じ取ることができた。

「早く教えて、これって嘘でしょ?そのサンドイッチはあなたが買ったの?それとも旦那さんが外で買ってきたの?」佐藤萌の...

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