第31章

葉山風子は口の端から垂れた唾を拭った。鏡を見なくても、さっきの自分の笑みが猥褻だったことは分かっていた。

「女なら誰だって、魅力的なイケメンが自分の足元にひれ伏す、あの支配感を拒めないものよ」葉山風子は桂原明の胸元を盗み見した。

シャツで隠れていても、発達した胸筋のラインははっきりと確認できた。

「誰が猥褻な笑顔をしたって?ちょっと楽しいことを思い出しただけよ」葉山風子は弁解した。

桂原明は疑わしげに葉山風子を見つめた。どうもこの女は嘘をついているような気がしてならない。

「どんな楽しいことを思い出したんだ?教えてくれないか?」桂原明は目を細め、姿勢を正して葉山風子に少しでも圧迫感...

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