第15.5章

ドミニク・ヴォス の視点

クロエは俺の背中の傷を見つけて、少し動揺していた。

実際、この程度の刃物による傷は俺にとって大したことじゃない。過去に受けた銃創のほうがよっぽど深刻だった。

だが、クロエが緊張した表情で救急箱を持ってきて傷の手当てをしようとしている姿に、俺は惹かれずにはいられなかった。

クロエは俺が怪我をしたことを心配してくれる最初の女だ。

今の俺の地位なら、近づきたがる女は多い。だが彼女たちは俺の外見と地位しか見ていない。俺がちょっと見るだけで、言葉も出せないほど怯えるんだ。

たまに俺を恐れていないふりをする女もいるが、俺がしてきたことを少し聞かされた...

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