第33章 次郎はS市にいる

鈴木美咲はホテルに戻ると、ドアを開けるなり、二人の子どもたちがソファに大人しく座っているのが目に入った。そして青山心もホテルに来ており、彼女に手を振って挨拶していた。

「心、どうしてここに?」鈴木美咲は驚きと喜びに満ちた表情で彼女を見つめた。

青山心は「空」に一瞥をくれると、軽く咳払いをして、鈴木美咲の手を引いてソファに座らせ、例のビデオについて尋ねた。

「空から聞いたけど、次郎を見つけたの?」

「ええ、明日行ってみるつもり」鈴木美咲は頷き、携帯電話に保存されたビデオを彼女に渡した。

青山心がビデオを見終えると、その目に一筋の驚きが走った。

彼女は「空」を見て、またビデオを見つめ...

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