第46章

坂田和也は彼女の後ろに座り、おとなしく水を飲む姿を見つめていた。深い黒の瞳に一瞬だけ温かな色が宿ったが、すぐに消え去った。

水を飲み終えた小林絵里はもう横にならず、ベッドの背もたれに寄りかかってスマホを取り出して確認した。多くの人からメッセージが届いていた。ほとんどは同僚からの体調を気遣う内容で、桜からのものもあった。

彼女は桜に電話をかけた。

「絵里、うまくいった?」桜はすぐに出て、甘ったるい声が聞こえてきた。

小林絵里「うん、うまくいったよ。桜のおかげよ、大功労者。何が食べたい?」

桜「じゃあ、遠慮なくお願いしちゃうね」

小林絵里「もちろん」

桜はくすくす笑って「久しぶりに...

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