第11章

言い終わると、江口慎吾はそのまま車に乗り込み、アクセルを踏んで走り去った。

宮下晴美は怒りに足を地面に叩きつけ、罵声を浴びせた。

「こいつ何なのよ!くず!バカ!アホ!もう頭に来た!」

「言っておくけど」宮下晴美は隣の男の襟首を掴み、

「今回千穂ちゃんは絶対に戻らないわよ!絶対に!」

隣の男は必死にあやす。

「そうだよ、そうだよ、怒らないで...」

でも、可能だろうか?

先のあの男は自信満々で、確信に満ちていた。きっとすでに勝算があるのだろう。

彼はこっそり宮下晴美を見た。彼女も友達のように男に尽くしてくれたらいいのに...

いや、やめろ!やめろ!

...

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