第22章

元々七時に目覚ましをセットしていたのに、宮下遥はなかなか起きられず、結局遅刻しそうになってから二人で小走りで急いでやってきた。

「何階?」鈴木千穂は彼女を一瞥して尋ねた。

「二階」鈴木千穂の落ち着きぶりとは対照的に、走って見苦しい姿になっていた宮下遥は内心歯ぎしりした。

二人一緒にエレベーターを出ると、宮下遥は何かに気づき、彼女の手にある大学院受験の資料を見て、少し妙な表情をした。

「あなたも図書館で勉強するの?まさか大学院を受けるつもりじゃないでしょう?」

鈴木千穂は黙ったまま、表情も淡々としていた。

宮下遥は独り言のように続けた。

「在学中の大学生でさえ合格...

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