第26章

鈴木千穂は帰宅すると、まず冷蔵庫をチェックした。昨日買った食材がまだ結構残っていた。牛肉とじゃがいもの煮込み、酢豚、トマトと卵の炒め物、それに...野菜の炒め物を作ることにした。

野菜を洗ったり切ったりする動作は手慣れていて、料理が全くできない今田健司を驚かせた。

「最近の人はほとんど出前を取るか外食だから、君みたいに自分で料理する女の子はどんどん少なくなってるよね」

鈴木千穂はさらりと微笑んだ。

「人それぞれ生活スタイルが違うだけよ。私は自分で料理するのが習慣になってるだけ」

今田健司は彼女の忙しく立ち働く後ろ姿を見つめながら、周囲を見回した。

部屋は広くないが、...

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