第31章

今田健司は教授に期待されている学生だけあって、鈴木千穂と専攻は異なるものの、会話の中でいくつかの共通点を見出すことができた。

話が深まるにつれて、鈴木千穂はかなり楽しそうだった。

現在大学院入試の準備をしているところで、ほとんどの内容はすでに理解しているものの、自分の専攻の最新の研究動向についてはまだ十分に把握していなかった。それには大量の論文を読み、日々積み重ねる必要があり、一朝一夕にできるものではなかった。

この点では、現役の大学院生である今田健司は、数年前にキャンパスを離れた鈴木千穂よりも当然優位にあった。

二人の後ろで、江口慎吾は二人が楽しそうに話している様子を見て...

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