第38章

鈴木千穂は江口琴子の意図を理解し、微笑みながらも特に弁解はしなかった。

「確かあなたの大学はB大学だったわよね?今回はどこの大学院を受けるの?」

「やはりB大学です」

「学術修士?それとも専門職修士?」

「学術修士です」

「どの専攻?」

「生物です」

江口琴子は眉を上げた。なんと彼女が志望している専攻と同じだった。

「志望の指導教官はいるの?」

鈴木千穂も隠さず、頷いた。

「大野教授です」

「誰?大野正人先生?」

「はい」

江口琴子は前回、大野教授の家で家事手伝いをしていた鈴木千穂を見かけたことを思い出し、表情が少し妙になった。

「あなた...

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