第45章

「それからお前も!」彼は鈴木千穂に向き直った。

「本当に下賤だな、誰を誘惑してもいいのに、よりによって彼を誘惑するとは。今満足か?」

鈴木千穂はその言葉を聞き、怒りと共に胸が痛くなった。明らかに彼女こそが理由もなく巻き込まれた被害者なのに、彼女が何を間違えたというのだろう?

江口慎吾の詰問に対し、宮下雅文は恐ろしいほど冷静だった。

彼は鼻梁の傷に触れ、口角を冷たく上げた。

「俺たちが何をしてるかって、お前は見ただろう?」

江口慎吾は無表情だった。

「だから、説明することはないのか?」

「何を説明する?俺が鈴木千穂を好きだって?俺が彼女を追いかけるって?」

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