第56章

鈴木千穂は首を傾げて想像してみたが、乏しい想像力では浮かぶ光景は少なかった。それでもインストラクターの言葉を聞いて、確かに緊張は和らいだようだ。

午後、気温が少し上がった頃、いよいよ正式に海に入ることになった。

ウェットスーツはセパレートタイプとフルタイプがあり、好みに応じて選ぶことができる。宮下晴美は当然、セクシーで可愛いセパレートを選び、鈴木千穂はやや控えめなフルタイプを選んだ。

それでも更衣室から出てくると、驚嘆の視線が多く向けられ、中には口笛を吹く人もいた。

海に入る前に、インストラクターは水温に慣れるよう指示した。

「水中に入ったら、あまり緊張しないで。まずは...

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