第60章

宮下雅文はバカじゃない。鈴木千穂の事件が起きた時点で、そんな可能性を考えていた。

だからこそ、真っ先に監視カメラの映像確認を要求した。

そして最終的な結論は偶然だった。サメも、酸素ボンベも。

宮下雅文は眉をひそめた。

「聞いてくれ……」

江口慎吾は彼の手を振り払い、冷たく言い放った。

「警告しておく。鈴木千穂に近づくな。さもないと、容赦しないぞ」

宮下雅文は江口慎吾の去っていく背中を見つめ、片眉を上げた。

彼が宮下遥のことに一切触れなかったのは、本当に気づいていないのか、それとも意図的に隠しているのか?

宮下遥は不安げに立ち尽くし、江口慎吾が険しい顔で近...

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