第13章

数日間、松本絵里は西村弘信を避け続け、彼に一人で会う機会を一切与えなかった。

この日、出勤するとすぐに坂田健之が松本絵里に知らせた。提携先の人が打ち合わせに来るので、夜は彼らと一緒に食事をすること、そして主任デザイナーとして松本絵里も同席する必要があるとのことだった。

「会社はいつからデザイナーを営業に出して、クライアント接待させるようになったの?」松本絵里は不思議そうに尋ねた。

「非常時なんだろう。西村社長が受注を取るために考え出した新しい手段なんじゃないかな」

坂田健之はそういった複雑な事情に首を突っ込みたくないタイプだった。

さらに松本絵里に内部情報を少し教えてくれた。

「...

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