第14章

「それはどうかな」小林昇太は家族の後ろ盾があるからこそ、脅しなど何も怖くなかった。「あんたが何者だろうと、今日はこの女性を連れ戻すはダメ」

「警察を呼べ!」小林昇太は背後の同級生に断固として言った。

「お前!」

西村弘信はこの小林昇太という若造が強気で折れないどころか、警察まで呼ぶとは思わず、逃げ出そうとした。

彼は夏川夢子に手招きして呼び寄せ、

「俺が悪人だと思うなら、同僚の彼女に任せよう。俺が立ち去れば安心するだろ?」

「ダメだ」と背の高い男子学生が飛び出してきて、西村弘信の腕をつかんだ。「真相がどうあれ、警察が来るまでここにいろ」

小林昇太はどこからか椅子を持ってきて、松...

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