第17章

いつもなら、タイムカードを押した後は、コーヒーを一杯入れて一日の仕事モードを起動させるか、デスクに伏せて少し仮眠を取り、早起きの疲れを癒すかのどちらかだ。

だが今日は、松本絵里が会社に入るなり、皆が二人三人と集まって、小声でひそひそ話をしているのが目に入った。

高橋桜が駆け寄ってきて、松本絵里を給湯室へと引っ張っていった。

「絵里、知ってる?今朝、西村社長が出社してないの。普段ならこの時間にはとっくに来てるはずなのに」

高橋桜は神秘的な口調で言った。

「それにね、警察が会社に来て誰かと話をしてるんだって。今も会議室にいるらしいわ……」

松本絵里は西村弘信が出社していないと知り、こ...

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