第27章

彼らの宿泊場所は普通の農家の家だった。

佐藤悟は目を細めて周りを見回した。

会社が毎年これだけの活動費を出しているのに、なぜ坂田健之がこんな場所を選んだのか、彼には本当に理解できなかった。

「坂田課長が言うには、福祉施設を訪問するのは手伝いに来たのであって、迷惑をかけに来たわけじゃないから、私たちの食事と宿泊は自分たちで賄うんだって」

松本絵里はベッドを敷きながら佐藤悟に説明した。

佐藤悟の若様気質を考慮して、肌に直接触れるものはすべて松本絵里が自宅から持ってきたものだった。

宿舎の片付けが終わる頃には、もうほぼ昼時になっていた。

「行きましょう、ご飯作りに」松本絵里は佐藤悟の...

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