第14章 橘直人の帰国

「僕は葉田さんと何度かプライベートで接触したことがあります。葉田さんの『対等な愛』というコンセプトには疑問を持っています。美華は純粋なジュエリーを尊び、デザイナーには知行合一を求めていますが、葉田さんはその条件を満たしていないと思います」

マイクが藤原羽里の手に渡ると、彼はゆっくりと語り、葉田知世の唇が引き締まり、笑顔の仮面が少しずつ崩れていく様子を満足げに眺めた。

採点のルールは、最高点と最低点を除いた平均点を取るというものだったので、藤原羽里のこの一票は全体には影響しない。

彼はただ彼女を苛立たせたかっただけだ。

幸いにも、他の審査員たちはみな公正で客観的だった。

最...

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