第19章 なぜ自殺するのか

午後に藤原羽里の別荘を出たばかりなのに、夜明け前にまた戻ってくることになるとは、葉田知世も予想していなかった。

「葉田淮、クズ、人でなし」彼女はクラウンの後部座席に横たわりながら、もごもごと言った。

「何?」藤原羽里はぼんやりと人の名前を聞いたような気がした。

「葉田淮、クズ、人でなし!」葉田知世はもう一度言った。

葉田淮、葉田雲子の父親?

「葉田淮を知ってるのか?」藤原羽里は車のエンジンをかけながら、さりげなく尋ねた。

「あんなクズ、知るわけないじゃない!私が認めないだけじゃなく、晨くんだって認めないわ!あんな奴、地獄に落ちればいいのよ……げぇっ!」

突然、葉田知世は座席から...

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