第25章 火を加えなければならない

藤原羽里が橘直人の強い釈明を知ったのは、藤原の給湯室でのことだった。

彼が10階に業務視察に行き、給湯室を通りかかった時、ちょうどコーヒーを入れるために並んでいた数人の女性社員たちの噂話が耳に入った。

「あの葉田知世って、本当に何かを持ってるわね。前に私も流れに乗って彼女を批判したことを後悔してるわ」

「確かに感動的よね。それに、あんなに美人だし」

「でも残念だわ、あの時スキャンダルに巻き込まれて棄権したから、400万円の賞金は彼女のものになったはずなのに!」

「ねえ、橘様があんなに彼女をかばってるの見ると、特別な関係に違いないわ。あんな女の子なら、いくらでもお金を手に入れられるで...

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