第16章 このバスケットボール選手はかっこいい

裁判の最後の笛の音と共に、校外チームが下川大学のバスケ部を破り、今回の試合に勝利を収めた。

渡辺拓司の落胆した表情を見て、平井琴美は矢のように飛び出していった。

「琴美ちゃん、待ってよ」

両チームが着替えを済ませ、続々と会場を出ていく中、人混みの中で黒いマスクをした男性と林田浅子の視線が偶然に交わった。

林田浅子がその男性の視線の意味を考える間もなく、彼はすでにサングラスをかけ、チームと一緒に立ち去っていた。

しかし鶴田健は彼女に気づき、挨拶をした。

「鶴田さん、すごいですね。うちの大学バスケ部に勝つなんて、おめでとうございます」林田浅子は心から言った。

鶴田健は、隣に立つサン...

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