第42章

藤原裕也は淡く微笑んだ。

「男がいるのか?」

「確かめてみる?」林田浅子は鼻を鳴らした。

「そうだな、確かめてみよう」

「あなた……」

林田浅子は藤原裕也の背中を見つめながら、心の中で数々の罵詈雑言を吐いた。

藤原裕也がこの家を訪れたのは今回が初めてだった。古い家ではあったが、内装や間取りは心地よい雰囲気を醸し出していた。

特に、年代を感じさせる家具の数々が印象的だった。

彼は自然とソファに腰掛け、周囲を見回した。中世地中海風のシャンデリア、緑色の革張りソファ、西洋風のワインキャビネット、そして上質なペルシャ絨毯。

これらの調度品は、元の持ち主が洗練された趣味を持ち、生活を...

ログインして続きを読む