第44章

「仕事の時間は結構フレキシブルだから、琴美ちゃんから実習のこと聞いて、ちょっと止めに来たんだ」

林田浅子は困惑した。

「止める?何を?」

「そんなに急いで実習に行く必要はないと思うんだ」と彼は言った。

「理由は?」林田浅子は彼を見つめた。

平井一郎は理由を言えず、妥協した。

「どうしても実習したいなら、うちの会社に来なよ。ポジション用意できるから」

「平井くん、私、義母さんと約束してるの。藤原株式会社で働くって。約束だから……」

林田浅子は平井一郎の意図を理解していた。

平井一郎はその約束を認めようとしなかった。

「彼女が言うことがすべてなの?浅子、いつからそんなに自分を...

ログインして続きを読む