第51章

藤原裕也は再度謝罪し、林田浅子はその流れに乗って態度を軟化させた。「じゃあ、私は……」

言葉が終わらないうちに、携帯電話が鳴った。

林田浅子は見知らぬ番号だったが、それでも電話に出た。

「もしもし、どちら様ですか」

「林田浅子さんですか?」

「はい、そうです」

「藤原グループの面接担当です。人員調整の都合上、改めて面接をさせていただきたいのですが、もし藤原グループへの入社をご希望でしたら、三日後に再面接の準備をお願いします」

林田浅子は藤原裕也を見やったが、彼は首を振って知らないという素振りを見せた。

林田浅子はこの機会を大切にしたいと思った。初めての就職面接だったからだ。

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