第52章

家の使用人たちは、用もなければ出歩くことはない。林田浅子はソファに身を沈め、ふと孤独を感じていた。

雪が降り始めていた。

彼女はまた感傷的な気分になっていた。

どこもが家のようで、どこも彼女の家ではないような気がしていた。

藤原裕也は今夜もまた会議があるという。こんな日々は、彼女が藤原株式会社に実習生として入社した時から、ずっと続いていた。

彼はいつも忙しく、夜に定時で帰れる日はほんの僅かだった。

彼女はわがままを言っているわけではない。ただ気分が落ち込んでいる時に、誰かに寄りかかって、心の内を話し、時には怒りをぶつけられる相手が欲しいだけだった。

林田浅子は深くため息をついた...

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